絶景が人間に与える影響
まず、自然が人間に与える影響は数多くあるみたいです。例えば、ストレスを軽減したりすることです。
中には『森林セラピー』というものもあるようです。
森の風景を見ることで体が受けるリラックス効果は、とても大きなものです。 ただ森の緑を眺めるだけでも、血圧の低下や脳活動が鎮静化するなどの作用をもたらします。 また、日本人特有の間隔として満開の桜を見ることで脈拍が増し、わくわくする傾向があります。
https://www.fo-society.jp/therapy/index.html
また、自然の中で毎週2時間過ごすことの健康効果は、推奨される身体活動レベルを達成することと同程度だと研究者らは見積もっています。
観葉植物も私たちに様々な恩恵をもたらし、ストレスや不安を取り除く効果があります。
身近な自然に触れるだけでも、ある程度の効果は得られるようですね。
では、これが絶景になるとどうなるのでしょうか?
Awe体験
絶景が与える影響について調べていると、興味深い記事を見つけました。
こちらの内容をもとに、Awe体験の概要をまとめていきます。
茂木健一郎氏のアハ体験は聞いたことがありますが、この言葉は初めて耳にしました。
「awe」とは日本語で「畏敬」か「畏怖」という意味です。
例えば、圧倒的な大自然や大仏を見た時に、「あぁ、すごいなぁ!」とか「でかっ!」と言ってしまうことがあります。
そのときの「あぁ」とか「うわぁ」に当たるような自然にもれる声、特に意味はないけれど感情表現としてでてしまう音からできたのが英語の”awe”だということなのです。
ではAwe体験とは何なのでしょうか?
結論から言うと
果てしなく広がる空の下で「この広大な宇宙に比べたら自分はなんて小さな存在なのだろう」と思う。あるいは、登山をして頂に立ち、360度に広がる空の下で他の山々の連なりや雲海を見渡し、“ちっぽけな自分”を感じる。
『科学的に幸せになれる脳磨き』岩崎一郎
このような、大自然や大宇宙の悠久さや広大さを前に、自分の存在の小ささを感じる体験を、脳科学ではAwe(オウ)体験といいます。
これは『科学的に幸せになれる脳磨き』(岩崎一郎 著、サンマーク出版)より、人生を豊かにする脳磨きとは?について解説されています。
脳の幸せ習慣6つで「感謝の気持ちを持つ」「前向きになる」「気の合う仲間や家族と過ごす」「利他の心を持つ」「マインドフルネス(脳トレ坐禅)を行う」「Awe(オウ)体験をする」と述べられています。
岩崎一郎氏のプロフィールはこちら↓
カナダ・トロント大学ステラー博士の研究
カナダ・トロント大学のステラー博士らの研究では、「Awe体験は自分を最小化し、それが謙虚になることにつながる」という結果も出ています。
大宇宙の悠久さや自然の広大さを前に「自分を小さい」と感じるとき、人は非常に謙虚な気持ちになり、そして素直に感謝の気持ちを持ちます。
その結果、前向きにもなり「世の中のため、誰かのために役立ちたい」という思いを強くするのです。このとき、脳は通常の何十倍、ときには何百倍も活性化するのです。
また、Awe体験を頻繁にしている人は、身体が慢性的な炎症を起こしているときに出る「インターロイキン6」の濃度が低く保たれるという結果を出しています。
インターロイキン6の濃度が高い(慢性的な炎症は人)は寿命が縮まる傾向があるのに対し、インターロイキン6が下がっている状態は身体には良く、寿命を延ばす傾向にあるとのことです。
中国・広州大学リー博士の研究
中国・広州大学のリー博士らの研究は、Awe体験で未来の時間の感覚を持てるようになり、社会性のある行動が取れるようになるという結果を出しています。
「未来の時間の感覚を持てる」というのは、未来を単なる時間経過した先にあるものと捉えるのではなく、自分が生きている「いま」と同じような感覚で捉えられるということです。
未来も「いま」と同じように価値があると実感できるようになるということです。
たとえば、いまから100年後の未来は、多くの人にとって自分が死んだ後の世界ひとごとです。
その時間を「自分が生きていないのだから関係ない」と他人事のように捉えるのではなく、「いま」と同じ感覚で捉えることです。それは、未来もいまと同じように価値があると実感することができるからです。
この感覚を持てるかどうかは、その人が社会性のある行動を取れるかどうかに大きく関わります。
たとえば、未来に思いが至らない人は、どうしてもいまの自分たちがより良く生きることだけを考えてしまう傾向があります。いまが良ければいい、いますぐメリットがあることをやろうなどという考えにいたってしまうのです。
しかし、地球の未来にきちんと思いをはせられる人は、温暖化による地球の環境悪化を少しでも食い止めようと「温暖化しないような生活に改めよう、なんとか対策を練ろう」などと考えます。
それは、単に「自粛」することだけを考えるのではなく、「温暖化防止」によって、逆にいままで以上に社会を活性化できないか、あらゆる創意工夫を凝らそうというところにまで思いをはせられるようになるといいます。
つまり、人はAwe体験をすることによって、いまの社会はもちろんのこと、未来の社会や人のために役立つことをしようと考えるようになるというわけです。
アメリカ ジョン・テンプルトン財団の研究
Awe体験をしている人は、見破る力、騙されない思考力を持つようになるのだそうです。
Awe体験をしていないと、情熱のある人の話やおもしろい話には弱く、議論でも説得されやすくなります。たとえそれが詐欺師だったとしても、ものすごく情熱的に話されると信じてしまいます。
それに対してAwe体験をしている人は、見破る力があるのだそうです。
Awe体験の特徴
ここまで難しい言葉や研究の成果が述べられてきましたが、結局何が得られるの?って話ですよね。
Awe体験の特徴として、アメリカ・アリゾナ州立大学のシオタ博士は次のようなことを挙げています。
①マインドフルネスを行ったように、何ごともありのままに受け取ることができるようになる
②心と身体をリラックスさせる
③好奇心を引き出す
④人と心のつながりを作る
⑤利他の心を引き出す
⑥身体を健康にする
⑦創造性を引き出す
⑧希望に満ちた状態になる
⑨幸福感が高まる
⑩嫉妬心など、ネガティブな感情が少なくなる
また、強いAwe体験の特徴の1つとして時間の感覚の変容があります。
世界がスローモーションのようにゆっくり動いているように見えたり、あるいは逆に、何かに集中しすぎて、ほんの一瞬だと思ったら、意外にも長い時間が過ぎていたりというようなことが起こるのだそうです。
これは、Awe体験がフロー状態(ゾーン)を引き起こすからだと考えられています。
ちなみに、きれいな街のネオンや夜景などでは、このようなAwe体験は起こらないようで、何か人智を超える感覚で、脳はAwe体験を引き起こすようです。
Awe体験をするだけで、これほどの効果が得られるみたいです!笑笑
Awe体験を日常でも取り入れる
Awe体験がもたらすメリットを紹介してきましたが
「頻繁に旅行なんて行かないし、周りに自然を感じられる場所なんてないよ!」なんて声もあると思います。
実は、普段からでも、小さなAwe体験を積み重ねることはできます。
オランダ・アムステルダム大学のフォンエルク博士らは、大自然の広大さ・美しさが感じられる動画を見ることでも、軽微なAwe体験ができるとしています。
自然のいぶきに満ちた、かけがえのない地球。 息をのむほどに美しい映像を通して、気候変動が動生物にあたえるインパクトの大きさを問いかけるドキュメンタリー。
https://www.netflix.com/jp/title/80049832
個人的におすすめなのはNetflixにある『Our planet』です。自然の偉大さと生物の多様性を感じることができます。
※この動画でAwe体験が得られるかは確かではありません
大自然の美しさ、広大さ、悠久さを少しでも感じられたら、それも一種のAwe体験です。このような動画を大画面にして見てもいいかもしれません。
ただ、このような軽微なAwe体験では、「時間の感覚を変えてしまうことはない」と、オランダ・アムステルダム大学の研究が明らかにしています。
まとめ
今回は絶景スポットを見ると得られる効果について書きました。
こうした感覚って脳や身体だけではなく、思考力にも影響を及ぼしていたんですね!
個人的には絶景スポットを見ることで何事も受け入れ、動じない心が身に付いてきたと思います。
そして何よりも、常に前向きになりましたね!!
だからこそ、これからも世界中のいろいろな絶景を見に行きたいです。
皆さんも機会があれば、自然を感じられる場所を訪れてみてください!きっと何かが変わるのではないでしょうか。
それではまた次の記事で!
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